ドイツW杯はイタリタの優勝で幕を閉じた

とうとう、終わってしまったドイツW杯。数々の記憶に残るドラマがあり、大会が始まる前に、予想していた内容をことごとく裏切られ、予期せぬ出来事に一喜一憂し、W杯という民族まつりの壮大さを感じ、今大会ほど、興奮し、大会終了が寂しく感じる大会は無かった。更に、いろんなことを考えさせられた。まずは優勝予想。私はドイツが優勝すると予想していたが、その開催国ドイツは、レーマンに変わり、カーンがゴールキーパーを守る3位決定戦にポルトガルと対決し、3位の結果に終わってしまった。また、圧倒的な戦力を誇るブラジルもまさかのベスト8で姿を消した。それも、宿命の相手フランスに、らしくないスコアレスで涙を呑んだ。私は殆どの試合をTVで見て、そして、ドイツ入りし、強さを感じた国は、ドイツ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルだったのだが、決勝戦は、まさかのフランス対イタリア。結果、PK戦でイタリアが4度目のワールドカップを手にしたのだった。今大会は、若手の台頭とベテランの奮起というキーワードがもっとも似合うフレーズなのではないだろうか。若手の台頭で挙げられるのは、シュバインシュタイガー、メッシ、フェルナンドトーレスの活躍。中でも一番目立ったのは、クリスチャーノ・ロナウドだろう。彼は、イングランド戦で審判に講義し、ルーニーを退場に追い込み、それに対してウィンクをしたとして、その後の試合では、ブーイングの嵐だったが、彼のドリブルは誰も止められなかった。次に、ベテランでは、フィーゴ、ビエイラ、テュラムそして大会MVPのジダンだ。決勝では、マテラッツィに頭突きを食らわし、現役最後の試合をレッドカードで退場となってしまったのは、とても残念であり、信じられない光景でもあったが、彼の輝きは、世界中の誰もが予想していた以上のものだったのでは無いだろうか。正直、私も、最近のジダンのプレーを見ていて、全盛期の切れが影を潜めていたため、引退もやむなしと思っていたが、大きく裏切られた。それ程、ピッチの上で繰り広げられた彼のプレーは冴えていた。これは、フィーゴにもいえることだった。もうひとつ面白かったのは、ストライカー対決、ベスト4に入ったチームは、それぞれ、プレミア、セリエAリーグアンブンデスの得点王を抱えていたからだ。結局、得点王はいつものように3位のチームから選ばれ、クローゼが5得点で手にした。また、今大会は良く飛ぶボールが採用されていたこともあって、ロングシュートが恐ろしいくらいの武器になっていた。フリンクスロシツキーシュバインシュタイガーのシュートなんて取れるわけがない。ボランチからのシュートが大会をエキサイティングにしていた。あと、もうひとつ面白かったのが、センターバックのレベルの高さが目に付いた。今大会は、ワントップが主流となっている感があったのだが、ブラジルのファン&ルシオ、フランスのテュラムギャラス、そしてイタリアのカンナバーロは特筆すべきセンターバックだった。そして最後に、日本の予選リーグ敗退。日本は得点力不足が原因かのように言われているが、よくよく考えると、当たり前なのだ。ベスト4に得点王がずらりと並ぶのだ。それでも勝てないW杯なのだ。たかだか自国のJリーグでも得点王になれないFWしか日本にはいないのだから、そんなことは承知の上で、前にも書いたとおり、足りないものは他にももっとある。足りないものだらけだったと、大会を終えて痛感した。勝ちに貪欲で、世界に壁に向かい、100%の力を出せるチームが4年後に侍ブルーとなっていることを切に願う。そんなことを思いつつ、今大会限りでピッチを去るフィーゴジダン、カーン、ネドベド、そして中田英寿に寂しさを覚えながら幕を閉じた2006年ワールドカップドイツ大会であった。