自分の中に毒を持て / 岡本太郎

【評価】★★★☆☆

【感想】
事前に準備し、予測し、備えて生きる。そんな生き方はつまらない。その瞬間瞬間に自分を信じてぶつかり、生きていく。その結果、傷つき、絶望することもある。悩み苦しみ葛藤することが人生を大きく膨らませるのだ。岡本太郎のメッセージを、このように読み取った。途中、男女や親子の関係について記載されているところは共感できなかったが、概ね、あっていると思う。にしても、エネルギーを燃やし続ける。誰にでもできることなのだろうか?

P36 何をすればよいのか、それがわからない。それが、ごく一般的なのだ。人に相談したって仕様がない。まず、どんなことでもいいからちょっとでも情熱を感じること、惹かれそうなことを無条件にやってみるしかない。
P38 大人になると、幼いときのみずみずしい自由感は次第に窒息させられて、世間一般の考えるとおりに考え、みんなのしゃべるようなしゃべり方をし、そういうことにも気づかせないほど、常識通りの枠の中におさまってしまうのだ。
P51 "いずれ"なんていうヤツに限って、現在の自分に責任を持っていない。生きるというのは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充実することだ。
P60 画家にしても才能があるから絵を描いているんだろうとか、情熱があるから行動できるんだとか人は言うが、そうじゃない。逆だ、何かをやろうと決意するから意思もエネルギーもふきだしてくる。
P61 あっちを見たりこっちを見たりして、まわりに気を使いながら、カッコよくイージーに生きようとすると、人生を貫く芯がなくなる。
P108 大学でのガクレキは、「紳士の身だしなみ」でもある。大学ぐらいは出ていなければ、恰好がつかないというわけだ。昔、明治時代には「洋服」を着て、ヒゲをはやしているのが紳士の条件であった。近頃では、そんなものでは別段、尊敬されない。その代わりが、大学出という肩書。つまり、ヒゲのようなもの。
P116 人間は、必ずしも成功することがよろこびであり大事なのではない。闘って、後にくずれる。その絶望と憤りの中に、強烈な人生が彩られることもある。
P193 「面白いねえ、実に。オレの人生は。だって、道が無いんだ」目の前にはいつも、なんにもない。ただ前に向かって心身をぶつけて挑む、瞬間、瞬間があるだけ。
P216 自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ。