Think clearly / ロルフ・ドベリー

【評価】

★★★☆☆

【感想】

啓発本というより忠告本とでも言いますか、肩を張らずに脱力系な指南本です。

内なる自分を分析し、無理をせずに、等身大の自分でいましょうよ。ってな感じでしょうかね。共感できない部分もあります。気になるところをピックアップ。

①「重要なことを決めるとき、どれくらいいろいろなことを試してから最終決定すればよいのか?」その指針を与えてくれるのが『秘書問題』。

※秘書問題とは、100人の応募者の中から一人の秘書を決めるという問題。一人ひとり面談し、その都度、合否を決定しなくてはならす、決定を最後の面談まで伸ばすことはできない。という条件があるというもので、優れた秘書を採用するにはどうすればよいでしょう?という問題だ。

(答)ためしてみる数=母数/2.718 すなわち、100/2.178=37人までは、面談をしても採用しないが一番優れた秘書の基準を決める。38人目からの面談で、その基準を超えた人が見つかれば、その人を採用するというもの。

②誰かから好意を受けると、その人にお返しをする義務があるように感じてしまう。これは、チンパンジーがえさを仲間と分け合うことで生きのびてきたことに関連している。この有効な戦略は、太古の時代から人類へも受け継がれている。頼みごとを引き受けてしまうと、お返しを期待してしまうので、簡単に引き受けるのはちょっとやめよう

「ああいう人だから」とわからせた方が勝ち

 ④現代に生きている人間は、これまでに地球上に存在した全人類のうちの「ほんの6%」にすぎない。

⓹世帯収入が約1200万円を超えると、追加収入が幸福度に与える影響はゼロになる。

⑥私たちの好みは、驚くほど変わりやすい。

 「20年前と比較して自分の性格や気性、価値観、好みが変わったか?10段階でいうと?」

 答え)2~4が最も多い

 「これからの20年ではどれくらい変わるか?」

 答え)0~2が最も多い

これらの結果から、人は自分の性格がこれからはほとんど変わらないと思っていることがわかる。

  「20年前の自分」を思い出して、以下の問いを考えてみるとよい。

 「当時のお気に入りの映画は?今のお気に入りは?」「その頃、慕っていた人たちは誰?今は誰?」「当時大事だった友人は?今は?」

⑦よい人生にするためのルールのひとつに「誰かの性格を変えなければならないような状況を避ける」というのがある。

幸福度は「目標を達成できたかどうか」で決まる

 実験結果として、若いころに経済的な成功を重視していた人の方が、数十年後の所得が多い。社会に出たら高収入を稼ごうと若いころに目標を立て、のちにその目標を達成した人は、人生に対する満足度も非常に高い。

⑨「ピーク・エンドの法則」

 何かを体験したとき、記憶に残るのは、一番印象深い「ピーク」とその終わり「エンド」だけ。

 旅行の記憶は、旅行期間が1週間だろうと3週間だろうと思い出に差は出ない。

 人への印象は、別れ際が記憶にのこる

 ⑩飛行機が「予定ルート」を飛んでいる割合はゼロ%。

 ものごとが全て計画通りに進みむことはない、柔軟に修正することに意義がある。

 ⑪自分の信念をつらぬくには、他人を失望させることは避けられず、ときにはあなたの好きな人を落胆させるかもしれない

⑫ありとあらゆることに意見を述べなくていいのは、とても開放感がある。意見が無いのは、「知能の低さ」の表れではない。「知性の表れ」だ。

あなたが所有しているものも、大事にしているものも、愛しているものも、すべては永遠ではないと理解しておくこと。人生のパートナー、子ども、友人、家、財産、故郷、評判、社会的地位も、いつ取り上げられてもおかしくないと思うことだ。

⑭賢明さの定義は、困難に対して予防的措置をほどこすことなのである。

 リスクを避けられる人がかしこいのだ。

ゲイツもバフェットも成功の要因は、「フォーカス」と言っている。

 どこに注意を向けるかが、成功を手に数ための大きな要因であるということ。

イデオロギーにかかわってもいいことはない。

 イデオロギーの見分け方

 1)あらゆる事象に対する説明が用意されている。

 2)反論の余地がない。

 3)不明瞭。

⑰あなたの人生の幸福度は?

 0(ひどく不幸)~10(うっとりするほど幸せ)

 今の状況はどうでしょうか?答えてみてください。

 次に、目を閉じてください。想像してください。

 あなたは、右手を失いました。右肩の先に残っているのは、丸い切断面だけだ。その部分を触ると、どんな感じがしますか?明日からの生活にどのくらい支障がでるでしょうか?食事はどうします?コンピューターのキーボードを打つときは?自転車はどうやってこげばいい?誰かを抱きしめたいときは?

 それなのに、今度は、あなたは左手まで失ってしまいました。あなたに、もう手はありません。何かをつかんだり、触ったり、撫でたりできない。あなたはどう感じるだろう?

 今度は、視力まで失ってしまいました。聞くことはできますが、周りの風景を見ることも子供や友人の顔をみることはもうできません。あなたは、どんな気持ちがするだろう?

 目を開けてください。二分間、今の3つのハンデを出来事を思い描き、「感じてから」先に進んでください。

 これらの状況を創造すると、あなたは、今の人生にどのくらい幸せを感じますか?

 今度も、0(ひどく不幸)~10(うっとりするほど幸せ)で点数を付けてください。

 劇的に上昇しましたよね。これが「心の引き算」効果というものです。

⑱「銀メダリスト」の幸福度が低いのはなぜか?

 銀メダリストは、自分を金メダリストと比較し、銅メダリストは自分をメダルに届かなかった選手と比較するからです。銀メダリストも「心の引き算」をしていたら、幸福度は上がったはずである。

⑲「顧客の視点に立って考える」では不十分、「顧客になってみる」べきなのだ。

 相手をきちんと理解するには、想像の中だけでなく、「本当に相手の立場に立つ」のが一番である。母親としての仕事を重く受け止めるには、子供の面倒を一日みればすぐに理解できるのだ。

⑳誰かの立場に身を置いて、その人の状況を体験すれば、相手に対する理解が深まる。役割を交換すると,ほかの方法よりずっと効率よく、迅速に、コストをかけずに相互理解が可能になる。

公認会計士の仕事を見てみよう。監査役会議の議事録には署名があるか?経費の証拠資料はきちんと保存されているか?売り上げは正しい時期に計上されているか?公認会計士たちは毎年、チェックリストの項目にのっとって業務を処理する。重要なのは「形式」が整っているかだ。エンロン、リーマン、AIG、USB銀行のような破綻や経営危機に陥ったときに最も驚くのは、その企業の公認会計士たちである。

 中身の伴わない「形式主義」を見抜くこと

石器時代は「多才」でなければ生きられなかった。今は、「スペシャリスト」でなければ生きられないのだが、我々の脳はいまだに石器時代のままだ。偏った知識では、後ろめたさを感じてしまう。

㉓もしもあなたが、プロの演奏家を目指しているなら、ピアノとバイオリンは避けた方が良い。競争相手が飛びぬけて多いから。

㉔あなたの重要な役割を担っているのは、あなた自身の人世に対してだけだ。自分の人世に集中しよう。「世界を変える」と大それたことをしようとすると、失望するよ。

 

3つ星なのに、以外に気になる箇所が多かったですね。アンダーラインがうなずける箇所でグレーが賛同できなかった箇所です。